今日のテーマは、社員が面白いと感じる企業研修です。
皆さんが思う“面白い”研修とはどんなものでしょうか?
普段さまざまな企業の研修を行わせていただく立場から、企業研修の面白さについて考えてみたいと思います。
多様化する研修スタイル
かつて企業研修といえば、座学が定番でした。講師がホワイトボードを使い、受講者は席に座ってその話を聞く。そこから現場で仕事をしながら学ぶOJT方式や、ゲームなどを取り入れた体験型など、さまざまなスタイルの研修へと発展してきました。
現在はおそらく、完全に講師の話を聞くだけというスタイルの研修は非常に少なく、ディスカッションやワークの機会が組み込まれたスタイルが一般的ではないでしょうか。
ここで少し、面白い研修としてよく話題に上がるいくつかをご紹介しましょう。
一つ目は、ハード系。
その代表格は自衛隊研修で、その名の通り、数日間自衛隊のプログラムに参加する研修です。団体行動や時間厳守の大切さが学べる研修として知られています。同じように環境を変える系でいうと、無人島サバイバル研修なんていうものも存在しているようです。たしかに、協調性が鍛えられそうですね。
二つ目は、エンタメ系。
東京ディズニーリゾートで行われているディズニーアカデミーや、劇団四季出身者が行うライオンキング研修の話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これらは接客力やコミュニケーション能力向上の研修として知られています。
三つ目は、作る系。
研修参加者でグループを作り、農業体験をしたり、工芸品の制作をしたり、変わり種では漫才やお芝居を作るといった研修です。アイデアを出したり、自発的に動いたり、時にメンバー間の調整が必要だったりと、会社で働いていく際に必要なスキルにつながるような要素が多数含まれています。
ここまで紹介した3種類の研修、“面白い”ですね。
では、参加者はみんなきちんと学べているのでしょうか?
面白い=学びとは限らない
面白い企業研修というと、どうしても少し突飛なものを想像しがちです。参加者はたしかにその場では十分な面白さを感じるでしょう。でも、その研修が本当に学びになっているかは、別軸としてきちんと検証が必要です。
ごくまれに面白さを重視するあまり、企業研修で学ばせたいこと、研修の目的がおろそかになってしまっている例を見かけます。受講者たちに興味を持ってもらうことはもちろん大切ですが、研修はあくまでも学びの場。目的を見失うことがないようにしましょう。
では最後に、突飛さがなくても、受講者が“面白い”と感じる研修について、普段企業研修のお手伝いをさせていただいている私が考えていることをお伝えしたいと思います。
大切なのは能動的であること
ずばり、企業研修における“面白さ”は、受講者が能動的に取り組めるものかどうか!
これが私なりの答えです。受講者が能動的、自発的に研修に参加をしていれば、仮に座学だけであっても、その研修は面白く、かつ学びになります。
そして能動性を決める要素として私が考えるのは以下の3点です。
・企業が求める研修目的の共有
・未来の自分がイメージできること
・実践に役立つこと
企業側が社員に研修を受けさせる場合、“社会人の基礎を身に着けてほしい”とか“新しいデジタルの知識を学んで、社内に還元してほしい”といったように、社員にこうなってほしいという目的があります。
研修を受講する社員側がそれをきちんと認識していなければ、“なんでこんな研修を聞かなきゃいけないんだ……”となるのは当然。研修を受けさせる前に、“なぜこの研修を受けるのか”、企業側・社員側が共通の認識を持つことが必要です。
企業が求める目的が分かっていても、“こんな研修で自分が変わるとは思えない……”となっては元も子もありません。そこで重要なのが、受講者側がこの研修を受けて、自分がどんな風に変化できる可能性があるのか、どんな風に進化したいのかをイメージすること。
極端に言ってしまえば、“この研修は自分にとってこんなメリットがある”と思える状態にすることです。これは企業側、受講者側の姿勢だけでなく、研修を受け持つ講師が積極的に未来の姿を伝える必要があります。
“で、結局この研修は何の役に立つの?”
最後に欠かせないのは、実践で役に立つこと。貴重な時間を使って研修を受けるのですから、どんなに“面白く”ても、自分の役に立たなければ、受講者は能動的に参加してはくれません。できるだけ実践に即した内容を取り入れることで、研修内容を“自分事”にとらえてもらう仕組みを作りましょう。
今回は、企業研修の面白さについて、改めて考えてみました。少しでも何かの参考になれば、幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。