みなさんこんにちは!
ポールスターコミュニケーションズの北宏志(きたこうじ)です。
愛知県で教員を務める20代女性より、教育のオンライン化について質問をいただきました。
彼女は現在、学校現場で活躍中です。同じ年齢の頃の私と比べてスキルが高く、今後更に素晴らしい教育者になると確信しています。
現在、学校の休業措置が長期化を見せる中で、様々なオンライン教材の無償提供などが進み、オンラインで学習しやすい環境の整備が始まっています。また、一部の学校ではオンラインによる授業も実施され、自宅にいながら学習を進めるというスタイルもできつつあります。一方で、PCやタブレット、Wi-Fiといったハードの整備がまだまだ進んでいないという現実もあります。
私は教育のオンライン化に賛成の立場です。
オンライン化のあり方について、学校現場と社会人教育に分けて考えてみたいと思います。
まず学校現場ですが、基礎知識の習得はオンラインで十分だと考えています。予備校講師による動画形式での授業がすでに普及しているので、教科書に沿って動画を見たり、宿題をしたりすれば、基礎知識をつけることはできるでしょう。
しかし、学校は、社会性やコミュニケーション、人と協力することといった“人として”という部分を学ぶ場でもあります。生きる力を育まなければいけません。部活動や文化祭などの行事も絶対に必要です。
そこで、例えば、午前中は自宅でも学校でも好きな場所で動画を使い基礎知識を学ぶ、午後からは学んだ知識を活用する時間とし、学校やその他の場所、オンラインで実際に対面し、ディスカッションやプロジェクト、部活動など、生徒の興味に応じた様々なことに取り組むといったスタイルが考えられます。WEBの力を使えば、国内外の他校の生徒とも一緒に何かをすることも可能です。
次に社会人教育ですが、学校現場と同様に基礎・基本となる考え方やルール(法令)などはオンライン学習で十分だと思います。社会人の場合、学んだことを行動に移し、成果を出すことが求められるので、本人のモチベーションさえ高ければ、生産的に大きな成果を出すことが可能です。製造現場や営業現場などの実地を伴う場合は、肌感覚や相手を見る力、スキルが重要になるので、オンラインとOJTを融合させた教育プログラムを整えることが必要となります。
ただし問題点もあります。
ここまで書いてきたことは、教育を受ける人のモチベーションが高く、前向きであることが前提です。世の中、やる気のある人ばかりではありませんし、反抗期の中学生もたくさんいます(笑)。全員を画一的にオンライン教育の仕組みに当てはめてしまうと、パフォーマンスの差が開いてしまう可能性が高くなります。
モチベーションを高める“スイッチ”は人それぞれ異なります。やる気を出せるかどうかは指導者側の関わり方によるものが大きく、本人が自分の成長を実感できないと、モチベーションにつながりません。教育のオンライン化を進める際には、指導者側のスキルが今以上に求められることになります。
入学したての生徒や新入社員に共通することですが、知識も経験もない状態で、好きにやらせるとパフォーマンスは絶対に上がりません。
最初は教えること(=teach)が必要なのです。少しずつ知識と経験がついてきたら、指導側が引き出してあげること(=coach)が求められます。知識と経験がついてきた段階で、任せる、思うようにさせてみるというプロセスに進むことができます。会社でいうと「権限委譲」。武道の世界でいうところの「守破離(しゅはり)」です。
教育のオンライン化を進めるには、モチベーションが高く、スキルがある人がどんどん成長していける環境作りと同時に、全体のレベルを底上げするスキルやシステムが必要なのではないでしょうか。教える側がまず勉強し、試行錯誤を繰り返しながら、生徒や社員を育てていくことが求められています。
最後に、これまでいろいろな国を見てきているからこそ言えることですが、日本人は勤勉で優秀です。力を合わせて何かを作り上げる力は、世界に誇れるものがあります。だからこそこの状況下であっても、それを乗り越えていけると確信していますし、私自身も、今回のピンチを新しいものを作ることができるチャンスとらえ、未来ある子どもたちや若者のために力になりたいと思っています。