オンラインツールの普及により、一部のIT系企業では活用されていたオンライン営業。コロナの流行に伴い、多様な業種の企業での導入が一気に進みました。皆さんの会社でもオンラインによる営業活動や商談が一般化してきたのではないでしょうか。
では、皆さんはしっかりとオンラインによる営業ができていますか?
なんとなくうまくいかない、訪問型営業の方が商談の手ごたえがあったという人も多いでしょう。オンライン営業であれ、訪問型営業であれ、営業の本質は変わっていないのに、うまくいかないのには理由があります。
今回はオンライン営業のメリットやデメリットに加え、オンライン営業を成功させるコツを伝授します。
オンライン営業のメリット
では早速、オンライン営業のメリットを見ていきましょう。
・移動のための費用的・時間的コスト削減ができる
オンライン営業のメリットとして真っ先に浮かぶのが移動をする必要がないという点。これにより、交通費や出張費といった費用的なコストの削減ができます。さらに、移動時間が不要になるため、時間的なコスト削減にもなります。
・1日に営業できる件数を増やせる
上述のコスト削減は、1日に営業できる件数を増やすことにつながります。また、場所の確保が不要になることで、アポイント獲得のハードルが下がり、これまで会うことができなかったクライアントにも営業をできるようになるといったメリットもあります。
・営業の範囲を全国・全世界に広げられる
相手先を訪問する必要のないオンライン営業は、これまで場所や距離の関係でアプローチできなかったクライアントへの営業・商談も可能にしました。日本国内はもちろん、海外の企業への営業活動も容易に行うことができます。
オンライン営業のデメリット
一方、オンライン営業には以下のようなデメリットもあります。
・相手の温度感が分かりづらく、コミュニケーションが難しい
多くの人が感じるオンライン営業のデメリットの一つが、コミュニケーションの難しさです。コミュニケーションは会話のキャッチボールだけではありません。相手の目線や手の動きといった会話以外からもさまざまな情報を得ることができます。オンライン営業の場合、実際に会うことができない分、温度感や雰囲気といったノンバーバルコミュニケーションを取ることが難しくなります。
・職場の様子など、相手の環境が見えない
訪問型営業の場合、実際の職場に足を運ぶため、“大きな声で挨拶してくれる、良い雰囲気の社内だ” “しっかりと対応してくれる信頼できそうな良い会社だ” といった相手を知るための外的な情報を自分の目で得ることができます。オンライン営業は画面越しで商談相手のみと話をするため、職場環境などの外的情報を得ることはできません。
・オンラインツールの整備が必要
オンライン営業を行うためには、自社だけでなく、相手先にもオンラインツールの環境が整っていることが大前提です。一部の企業ではセキュリティ上使用できるツールが限られている場合もあり、
あらかじめ双方のオンラインツールの確認をすることも必要になります。また、回線の都合などで、商談が中断してしまう可能性も考えられます。
訪問型営業のメリットとデメリット
ここまでオンライン営業のメリットとデメリットを見てきましたが、ここで少し従来の訪問型営業についても考えてみましょう。
訪問型営業のメリット
・相手の温度感や雰囲気を感じられる
・“わざわざ訪問してくれた”という心情を得ることができる
・相手の職場環境を見られる
訪問型営業のデメリット
・移動のための時間、費用が必要になる
・訪問できる範囲にしか営業活動を展開できない
・時間的コストが発生するため、(オンライン営業に比べ)件数をこなすことが難しい
このように見てみると、訪問型営業のメリットがオンライン営業のデメリットになっていることが分かります。従来の訪問型営業の方がうまくいっていた気がするという方は、この部分を改善していくことで、オンライン営業でも同じような成果を上げることができるのではないでしょうか。
オンライン営業を成功させるコツ
最後に、オンライン営業を成功させるために必要ないくつかのコツをお教えしたいと思います。
・オンラインツールや環境の整備、事前準備を行う
一つ目は最もベーシックでありながら、実は軽視されがちなポイント・オンライン営業を行うための環境整備です。自社で使用できるツールを複数用意しておく、相手の使用可能なツールを確認しておくといった初歩的なところだけでなく、初めて使うツールの場合は一度、社内で練習をしておくと良いでしょう。
特に映像がどう映っているのか、画面共有のやり方といったオンライン営業中に発生しうることについては事前にチェックをしておいてください。また、ヘッドセットの用意や、周囲の音声が遮断できるウェブミーティング用ブースの準備もしておくと、万全の態勢で臨むことができます。
・丁寧なアイスブレイクを心掛ける
二つ目はオンライン営業ならではのコミュニケーションの難しさを解消するための秘訣である丁寧なアイスブレイクです。訪問型営業では対面して挨拶、名刺交換、アイスブレイクを行う過程で相手の雰囲気や温度感を探ることができます。
オンライン営業の場合、挨拶を交わしてすぐ本題に入りがちですが、オンラインだからこそ、意図的にアイスブレイクを取り入れる必要があります。特に初めての営業活動の場合、相手の記憶に残るような自己紹介をするといった工夫で、オンラインならではの“そっけなさ”を軽減する努力をしましょう。
・意識的に相手の反応を確認、キャッチボールを意識する
三つ目もコミュニケーションに関係するコツです。先ほど、コミュニケーションには会話とそれ以外(ノンバーバルコミュニケーション)があるとお伝えしました。オンライン営業の席では、この両方のコミュニケーションを従来以上に意識することが大切です。
会話においては、ただ画面を共有しながら資料を読み上げるのではなく、要所要所で “ここまでで不明な点はありませんか?” “御社はこの点についてどうお考えですか?” といった声がけをし、相手が言葉を発する機会を作りましょう。
また、相手がどんな様子で話を聞いてくれているのかも適宜確認する必要があります。相手の目線が外れている場合、興味を持ってくれていない可能性が高いので、違う話題や切り口に変えるといった対応が考えられます。
・声の高さ、スピード、リズムに気を付ける
先ほど、相手がどんな様子なのかを確認することが大切だとお伝えしましたが、それと同じことが自分にも言えます。相手が聞き取りやすい声の高さなのか、話すスピードは適切かどうか、相手が心地よいと思ってくれる話し方ができているのか。
画面と音声のみの情報しか伝達できないオンライン営業では、訪問型営業のように自然に自分の持っている雰囲気を伝えることが難しいものです。だからこそ、意識的に“自分の雰囲気”を作り上げることが欠かせません。
今回は、コロナ禍で急速に導入が進んだオンライン営業について、メリット、デメリットとともに、そのコツをお伝えしました。今後ますます広まっていくオンラインでの営業や商談に対する苦手意識を克服し、より大きな成果につなげられるよう、明日のオンライン営業から取り入れてみてください。