多くの企業が悩む若手社員の離職。
では、それを防止するための対策はあるのでしょうか。
おそらく“これをすれば100%解決”という方法はありません。
しかし、小さなことを積み重ねることで、離職させない企業風土をつくることはできます。
今回は、若手社員の離職を防止するための対策について考えてみます。
“なぜ辞めるのか”に徹底的に向き合う
1つ目の対策は、離職を防ぐよりも前にすべき、下準備です。
皆さんは自社の社員が離職する際、その理由を“きちんと”聞いていますか。
もちろん退職届に書いてある“一身上の都合”は知っているでしょう。
しかし、それはあくまでも建前です。
本当はなぜ辞めるのかを知らなくては、離職を防ぐことはできません。
例えば、製造業の企業に勤める若手社員が「子供のころからの夢だった漫画家になりたい」と言った場合、離職を防ぐことはほぼ不可能ですし、それはぜひ夢に向かう若者を応援してあげたいところです。
しかし仮に、製造業の企業に勤める若手社員が「ライバル企業に転職する」のであれば、彼/彼女は何かしら自社に不満があり、ライバル企業ではその不満が解消されるということ。
そこには、企業として改善すべき何かがあるのです。
だからこそ、離職を防ぎたいと考えている企業はまず、その理由に向き合うべきでしょう。
できる改善、できない改善を洗い出す
2つ目の対策は、離職理由に多く挙がった項目のうち、すぐに改善できるものと、改善できないものを洗い出すことです。
例えば、工場勤務として採用しているのに「在宅勤務がないから」という理由で離職する場合、企業として改善できる余地はありません。
一方で、総合職として採用している人が「職種が合わない」と言うのであれば、配置転換をすることができます。
このように、企業としてすぐに改善できるものと、改善できないものをはっきりとさせることで、次に採るべき対応が見えてくるのです。
次に採るべき対応とはもちろん、すぐに改善できるものを改善することになります。
若手社員は“思っているよりも”会社をよく見ている
3つ目の対策は、すでに前述した通り、すぐに改善できるものを改善すること。
これは会社により内容が異なるため、具体的なステップなどについてここではお話しません。
それとは別に、3つ目の対策で大切なことについて話したいと思います。
それは、改善のプロセスと結果を明確に示すこと。
以前、こんな話を聞きました。
残業時間が長く、若手社員が疲弊し、離職してしまうことが続いていたある企業では、“残業を減らしましょう”というお達しを出したそうです。しかし、それでも離職者は減りませんでした。
その企業に勤めていた方によると、「号令が出ただけで、業務内容が変わるわけでも、制度が変わるわけでもないので、却って失望した」人が増えたそうです。
一方、同じように残業時間が長かった別の企業では、毎週火曜日をノー残業デーに設定し、できていない部署のマネージャーは指導の対象としました。
また、負荷の大きかった業務を効率化するため、あるシステムを導入、業務にかかる時間の短縮を実現。
この企業ではそれ以来、残業時間の長さを要因にした離職者はいないそうです。
この2社のエピソードからも分かるように、若手社員はマネジメント層が思っているよりもずっと、会社がどういう行動を採るのかに注目しています。
改善できるものはできるだけすぐに、分かりやすく変えていくべきなのです。
以上が、私が考える若手社員の離職を防止するための対策でした。ぜひご参考ください。