就業人口の低下や離職率の上昇など、働き方を取り巻く環境は刻々と変化しています。
そんな中、注目を集めているのがメンター制度です。
今回はメンター制度導入のメリットや、多くの企業が採り入れている社外メンターについてお伝えします。
メンター制度とは
メンター制度とは、社内において上下関係や仕事におけるつながりのない先輩社員が、社員の相談役を務めることを指します。
先輩社員をメンター、サポートを受ける社員をメンティーと呼び、それぞれにメリットがあると言われています。
メンター制度のメリット
どんなメリットがあるのか、まずはメンティー側のメリットを考えてみましょう。
1つは、社内において広がりのある人間関係を築くことができる点があります。
職場での人間関係は上司と部下といった縦の関係と、同期や同僚といった横の関係だけになってしまいがちです。
メンターという立場の異なる先輩社員とのコミュニケーションにより、会社を深く理解したり、多様な考え方に触れたりといった機会を創出することができます。
また、もっと単純に、気軽に話せる相手ができるというメリットもあるでしょう。
ちょっとした悩みや疑問を相談できる相手がいない場合、容易に離職につながりやすくなります。
だからといって、人事評価に影響のある上司や同僚に相談するのが難しいこともあるはず。
そんな時メンターがいれば、身近な相談役を引き受けてもらえるのです。
一方、メンターにもメリットがあります。
それは、先輩という立場からメンティーを見ることで、自身のキャリアを考えたり、スキルや考え方の幅を広げたりすることができるという点です。
社内メンターと社外メンター
メンター制度を導入する場合、まず検討すべきなのはメンターを誰に務めさせるかという点です。
メンターには社内メンターと社外メンターがいます。
社内メンターはその名の通り、自社内の先輩社員がメンターとなります。
社内なので、悩みを理解しやすい、職場環境に関する話が通じやすいといった利点もありますが、メンターを務める側の業務量が増える、メンター・メンティーのための研修プログラムを用意する必要があるといった点が課題になってきます。
あるいはそもそもメンター制度を成立させられるほど社員の数が多くないといったこともあるかもしれません。
そのような企業には社外メンターという選択肢があります。
社外メンターは、社外の人物でメンターを務めるためのプログラムを受講した人や、メンターとしての経験を持っている人が該当します。
こちらはメンターの“プロ”ですので、研修プログラムの用意や、業務量などを加味する必要もありません。
社外メンター導入の目的
最後に、弊社で社外メンターを担当させていただいている企業の例を挙げながら、メンター制度導入の目的を考えてみましょう。
A社は社員50名以下の企業ですが、新入社員の定着率が低く、すぐに離職してしまうという問題がありました。
上層部の方は「うちはアットホームな会社だから」が口癖です。
人数が少なく、風通しが良いという風に考えていらっしゃるようでしたが、実際に社員の方々からお話を伺うと、人数が少ないが故、ちょっとした悩みや仕事に対する本音を言える相手がいないという声が聞かれました。
そこで、離職率を低下させるという目的で社外メンターを導入。
月に1回の面談に加え、メンター制度を理解するための研修も実施しました。
メンティーからは「社内の人には言いづらいことも話せる」「人に話すことで、自分の考えをクリアにすることができる」と言った声が上がっており、“突然の離職”も減ったそうです。
B社は、メンター制度導入当時は、社内メンター制度を採用していた企業です。
メンター側にはその目的を理解させる研修を実施した上で、月に1回の1on1を課したそうです。
それに加えて、メンター制度導入の成果を確認するため、人事部とメンターとの定期面談も行っていました。
しかし半年ほど経った頃から、メンターによって成果に差が出てきたのです。
話を聞いてみると、自身の業務が忙しい時期にはどうしても1on1がおろそかになってしまったり、ただただ雑談をするだけの時間になり、制度導入の目的が薄れてしまったりといった課題が浮かび上がりました。
そこでB社では社外メンターを改めて採用。
専門の知識を持った人物に専任でメンターを務めさせることで、制度導入の目的をしっかりとくみ取った面談を行うことができるようになりました。
働き方の多様化が進むことで生まれるさまざまな課題の解決の一助となるメンター制度。
社内であれ、社外であれ、気軽に話せる相談役の存在は、社員にとって大きな支えになるものです。
弊社でも社内メンター導入のための事前研修や、社外メンターについてのご相談を受け付けています。
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