【10分で分かる】メンター制度導入のメリット・注意点をエグゼクティブビジネスコーチが解説

日常生活でちょっと悩んだ時、すぐに相談できる相手がいることはとても心強いですね。それは職場でも同じ。職場において気軽に何でも相談できる相手をマッチングする制度がメンター制度です。先輩をメンター、後輩をメンティーと呼び、業務のことからキャリアプラン、プライベートのことまで、さまざまな話ができる関係性を構築することを目的としています。

北宏志

ではなぜ今、メンター制度を導入する企業が増えているのでしょうか。

一つは職場の人間関係の希薄化が考えられます。以前は家族帯同の社員旅行があったり、休日に職場主催のイベントがあったりと、同じ会社に勤める人同士が仕事からプライベートまで深く付き合いをすることが当たり前のようなライフスタイルでした。

しかし今は、特に若者を中心に、仕事は仕事、プライベートはプライベートと切り分けて考える人が増え、社員同士の人間関係が“仕事だけの付き合い”になりがちです。その結果として、何でも気軽に話せる相談相手を社内で自然に見つけることが難しくなってきています。

もう一つはコロナ禍に起因する働き方の変化が挙げられます。オンライン会議の普及、在宅勤務の導入により、社内の人間関係を構築する方法も大きく変わってきています。実際私の友人にも“人事異動で新しい部署になったけども、メンバーとはオンラインでしか会ったことがない”という人がいました。

在宅勤務はやり方によっては仕事に集中ができる良い仕組みではありますが、同じ社内で大勢が働いていた頃とは異なり、“ちょっとした雑談”が生まれにくいものです。雑談から共通の趣味が見つかったり、同じ悩みを抱えていることが分かったりすることで自然と人間関係の構築ができていた頃と同じようにはいかないのが、まさに今の時代なのでしょう。

特に、このタイミングで入社した新入社員たちにとっては、社内の人間関係構築は重要な問題です。そのため、新入社員たちに対し、先輩社員をマッチングするメンター制度を導入する企業が増えているのではないでしょうか。

目次

メンター制度導入のメリット

メンター制度の導入にはいくつかのメリットが挙げられます。

・社員の離職率を下げる

多くの企業が悩む離職率の高さ。特に新入社員や若手社員の離職が多いと悩まれている企業が多いようです。メンター制度は前述した通り、ちょっとした相談ができる相手をマッチングすることになり、日々の小さな疑問やささやかな不満がメンターとメンティーの間で共有・解決されていきます。結果として、風通しの良い職場環境となり、離職を未然に防ぐことができるのです。

・モチベーションの維持・向上

メンティーにとってメンターは自分の近い将来の姿を見せてくれる存在。先輩の働きぶりを間近で見ることができるため、メンティー自身のキャリアプランを想像しやすくなり、仕事に向かうモチベーションを向上させることができます。また、メンター制度のメリットは、メンティー側だけのものではありません。メンティーを持つメンター側も先輩としての自覚をより強く持つことができ、自身の業務へのモチベーションにつながるのです。

・企業風土の共有促進

企業にとってのメリットとして、企業風土や文化の共有が自然な形で深まっていくということが挙げられます。トップダウンで“命じる”のではなく、メンターとメンティーの日常の会話からその企業の考え方、求められるやり方などが“伝わる”ことで、企業全体としての風土の醸成を行うことができます。

メンター制度導入の注意点

一方、メンター制度の導入にはいくつかの注意点もあります。

・業績や評価に直結しない人選が必要

メンター制度のお話をすると、“仕事の相談なら直属の上司と部下が一番適しているのではないか”と思われる方がいらっしゃいます。たしかに業務を進めるという点では適しているのですが、メンター制度の考え方とは少しずれてしまいます。直属の上司と部下をメンター・メンティーとした場合、メンティー側は“こんな相談をしたら、評価が下がるのではないか”という点に頭が向いてしまい、風通しの良い関係性を構築することが難しくなります。

そのため、メンターは業績や評価に直結しない先輩を選定することが推奨されています。また、“合う”“合わない”といった性格的な面も加味する必要があり、制度導入のためにはどのようにしてマッチングを行うかを慎重に判断することが大切です。

・制度としてのルール化

メンター制度はただ単に“仲の良い先輩後輩”を作ることが目的ではありません。企業への貢献が必要な制度なのです。お互いに愚痴を言い合うだけのネガティブな関係性になってしまわないよう、メンター側への指導も欠かせません。

また、メンティー側も、メンターと過ごす時間がなぜ設定されているのかという企業の意図をくみ取り、積極的な姿勢を持つことが必要です。メンター・メンティーそれぞれにきちんとしたルールを作り、仕組みを運用していかなければ、メンター制度は形骸化してしまいます。

・メンターの業務負担増加の懸念

メンター制度を導入する際に忘れてはいけないのが、メンターの業務負担の増加です。例えば、入社3年目の若手社員を新入社員のメンターとした場合、若手社員自身が自分の業務で手一杯であることも多く、新入社員への助言の時間をストレスに感じてしまう可能性もあります。

また、小さな企業の場合、社員一人ひとりの業務範囲が広く、メンティーのための時間を設けること自体が難しい場合もあります。

社内メンターが難しい場合は、社外メンターという選択肢も

メンター制度の導入について、最後に一つ、アドバイスをさせていただきます。

それはメンターが必ずしも社内の人である必要はないということ。メンター制度のメリットは分かっているものの、社員数や業務量の関係で、制度の導入を迷っていらっしゃる場合には、社外メンターという選択もあります。

メンター制度は、社員のモチベーション向上や離職率の低下といったメリットの大きい制度ですが、適切な仕組み作りをしなければ、誤った方向に進んでいってしまう可能性もあります。社内でのメンター制度導入をご検討されている方や、社外メンターにご興味を持たれた方はぜひ、お気軽にお声がけください。

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