ITや科学技術の世界は日進月歩。数年前と比べて、大きく変化しているものに触れることも日常茶飯事です。そんな技術革新に伴い、
教育の世界もさまざまな変化を遂げていることをご存じですか?
今回は、昨今話題の学習方法の一つ、アダプティブラーニングについてお話したいと思います。
アダプティブラーニングとは?
アダプティブラーニング(Adaptive Learning)は日本語では適応学習と呼ばれています。教育者一人ひとりの学習進捗に合わせた教育方法や教材を、大量のデータを基に提供するため、“適応”教育なのです。教育の現場では今、教育とテクノロジーを組み合わせたEdTechがどんどんと導入されており、アダプティブラーニングもその一つ。今後ますます注目が集まりそうな教育方法です。
日本では文部科学省が「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」においてすぐに着手すべき課題としてアダプティブラーニングを取り上げており、学校教育の現場でも導入が始まっています。
従来の学習は、教師や講師などが複数名に同一の教材を使って行う“授業”が一般的でした。一度に大勢に同じ内容を教えることができるというメリットもある一方、一人ひとりの学習状況や理解度に合わせることができていたかというと、100%ではなかったでしょう。
また、マンツーマンの塾など指導者1人に対し、教育者1人という構成での学習スタイルも普及はしていますが、こちらの場合、指導者の力によって学習効果に偏りが出てしまうというデメリットがありました。また、指導者が持つ時間には限りがあり、常にすべての教育者に対して、目を配り、進捗に合わせたプログラムを用意することは非常に困難です。
一方アダプティブラーニングはシステムによるデータ分析を取り入れることで、常に個人個人に対し、その人に合った最適なプログラムを提供することができます。
人材教育におけるアダプティブラーニングのメリット
学校教育におけるアダプティブラーニングと同様、今後は、人材教育、企業研修などの場においても、アダプティブラーニングが広がっていくでしょう。その理由は、人材教育の難しさと関係しています。
仕事に対する考え方やアプローチの正解はさまざま
学校で習う数学や歴史には、明確な答えがあります。1+1=2であり、どうして2なのかという哲学的な疑問を持たない限りは、誰にでも答えを見出すことができるものです。
しかし、仕事の場合、“必ずこれが正解”というものがある場合の方が少ないでしょう。企業風土、自分の性格や立場、取引先との関係性、業界動向……さまざまな要因によって、仕事の取り組み方の正解は変化します。だからこそ、一人ひとりに合わせた適応学習が必要になってくるのです。
指導する側の能力もさまざま
学校教育の場合、指導者の大半は教員免許を所持し、何らかの形で教育について学んだ人材です。しかし、企業の場合、部下を指導するのは上司。プレーヤーとして、あるいはマネジャーとしては優秀かもしれませんが、指導者としての力量は未知数です。
運良く指導者向きの上司が教育した場合は効果的ですが、そうでなかった場合は……。このような点からも、指導者側の能力に関わらず、システムが教育者の進捗を分析してくれるアダプティブラーニングは人材教育にも適していると思います。
今回は、教育の世界で注目を集めつつあるアダプティブラーニングについてお話させていただきました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。