皆さんは職場で上手に自己主張できていますか?
この質問に対し、堂々とイエスと答えられる人は少ないでしょう。特に日本人は“自己主張が苦手”といわれることが多く、自分を主張することに対する苦手意識が強かったり、自己主張をすることをマイナスにとらえていたりする人もいます。
今回取り上げるのは、自己主張の一つの手法といわれるアサーティブコミュニケーションです。
アサーティブコミュニケーションにはどんなメリットがあるのか、ご説明します。
アサーティブコミュニケーションとは?
アサーティブコミュニケーションとは、相手を尊重しながら自己主張を行うことを指しています。一方的に強く主張を行うのではなく、あくまでも“相手を尊重しながら”というところがポイント。
アサーティブコミュニケーションは以下の4つの柱に基づいた手法です。
誠実・率直・対等・自己責任
コミュニケーションを行う際には、相手に対しても自分に対しても誠実に、率直に発言をすること。相手との上下関係を設けず、対等な人間同士であることを意識する。自分の発言に責任を持つ。
どれも言葉にするととてもシンプルですが、実際のコミュニケーションにおいてきちんと意識できているかと問われると、なかなか難しいように思えますね。
アサーティブではない3つのコミュニケーション
では、アサーティブではないコミュニケーションとはどのようなものなのでしょうか?
攻撃型(アグレッシブ)コミュニケーション
攻撃型(アグレッシブ)タイプのコミュニケーションは、相手のことを考えず、ただただ自分の主張のみを押し通すやり方です。自己中心的な印象を与えるようなコミュニケーションをイメージすると分かりやすいかと思います。
また、言動だけでなく、相手に反論の隙を与えないような早口な話し方や、自分の意見が通らないことに腹を立てて声を荒げる、不機嫌そうな様子になるといった態度を取る人もこのタイプに該当します。このようなコミュニケーションでは、瞬間的に相手に主張を通すことができたとしても、仲良くしたい、もっと相手のことをよく知りたいと思ってもらえる訳がありません。
受け身型コミュニケーション
受け身型タイプのコミュニケーションは、相手から嫌われることを恐れるあまり、自身の主張をすることができない場合を指しています。会議の場で積極的な発言ができなかったり、イエスノーを問われても答えられなかったり、というような場合です。
また、相手の主張に対して断ることができず、不満だけが積もっていくということもあります。
作為的コミュニケーション
作為的タイプのコミュニケーションは、“言わなくても察して”というタイプ。直接的に態度で示すだけでなく、他者を介して主張しようとするなどの行動があります。言うまでもないことではありますが、このタイプのコミュニケーションが双方にとって良い方向に進む可能性はほとんどないでしょう。
誤ったコミュニケーションが生み出す弊害
上述したアサーティブではないコミュニケーションは、職場に大きな悪影響をもたらす可能性があります。一つは、離職率の増加です。
多くの人たちが職場での人間関係に悩んでいる現代では、コミュニケーションの取り方を一つ間違えただけで、すぐに離職につながってしまうことも。また、攻撃型(アグレッシブ)タイプのコミュニケーションが強すぎれば、ハラスメントととらえられてしまったり、社員がメンタルヘルスで悩まされたりといった場合も考えられます。
いずれにせよ、相手のことを尊重したアサーティブなコミュニケーションが取れていない場合、企業にとって大きな損失となることに違いはありません。
中堅社員向けアサーティブコミュニケーション導入のススメ
さて、弊社では日頃からさまざまな業種の企業さまの人材教育や研修をお手伝いさせていただいています。その中でもよくご相談を受けるのが社員同士の有効なコミュニケーションについてです。
上司と部下でコミュニケーション不全が起きているといった表面化している問題もあれば、一見するとコミュニケーションが取れているように見えるものの、話を詳しく聞くと、アサーティブではないコミュニケーションが常態化してしまっているといった問題も。
そのようなご相談には、まず中堅社員の方からアサーティブコミュニケーションの意識付けを行うことを推奨しています。中堅社員の方たちは企業にとって業務を回していく中心的な存在であり、新入社員や若手社員とコミュニケーションが必要な場面も多いでしょう。
そのレイヤーにあるメンバーが適切なコミュニケーションを取れていない場合、仕事への弊害が出やすいという懸念点があります。そのため、まずは中堅社員の方に率先してアサーティブなコミュニケーションへの意識付けを行い、職場での有効なコミュニケーションを少しずつ全体へ広げていっていただきたいのです。
一つひとつの小さなコミュニケーションが職場を大きく変化させるきっかけになる場合も多々あります。少しでも社内コミュニケーションに関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。