先日、ある研修の場でお会いした中小企業の社長がこんなことをおっしゃっていました。
「人を採っても採っても、どんどん辞めていってしまう……」。
この悩みはおそらく多くの経営者に共通しているものなのでしょう。
その場にいた他の方も「その通り。せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう人もいて困っている」と、同調されていました。
そんな話を聞きながら、ふと思ったのが
“採用はできている=企業イメージは良い”のに、どうして離職してしまうのか、採用段階で何か問題があるのではないか?
ということでした。そこで今回は、離職率を低下させるための採用というテーマを考えていきたいと思います。
離職理由から、採用方法を見直そう
いきなり本題です。
離職の原因は業務量が多い、人間関係が良くないなど、人によってさまざまあります。中でもよく耳にするのが “思っていたのと違った” “面接時の話とのギャップが大きかった” というもの。このブログを読んでくださっている方の中にも、もしかしたら心当たりがある方もいらっしゃるかもしれません。例えば以前知人から聞いた話にこんなものがありました。
専門職のようなスキルを求める求人に応募し、面接の時にもそのスキルについてアピールをした。面接担当者からも、そのスキルを用いた業務についてのみ説明を受け、結果、スキルを見込まれて採用された。
しかし数か月でその事業の縮小が決まり、まったく異なる業務の担当になってしまった。上司からの説明は“うちは専門職で採用していないから、業務内容の変更は当然”という言葉のみ。その人はそれから数か月で会社を退職した。
こうやって書いてしまうと、多くの人は“そりゃあ辞めて当然だろうなぁ”という感想を持たれるでしょうが、実際に自分の身の回りでこういうことが起きていないかというと、やはり心当たりがあるのではないでしょうか。もし仮に、前述した人が面接時にその会社の人事配置に関する考え方や、キャリアプランについて、いろいろと話ができていたら……。結果は違ったかもしれません。
採用面接は重要なすり合わせの場
採用のお手伝いをさせていただいていると、“面接は求職者を見極める場”だと思われている方が多いことに驚かされます。
もちろん、求職者がどんな人材なのか、自社に合うかどうかを見極める場であることに違いはありませんが、私は、採用面接は求職者側が企業を見極める場でもあり、企業と求職者の両方が自分の考えやプランをすり合わせる場だと考えています。
つまり、面接の場は企業から求職者への一方通行の場ではない。極端に言うと、“企業研究をして面接に来ているだろうから、自社のことを説明する必要は無い”というような考えで面接に臨む企業は、離職率が高くなって当然なのです。
採用の段階から、企業側も積極的に自社の風土やキャリア形成への考え方、今後の展望などを開示することで、採用後のギャップを小さくすることこそ、離職率低下につながるのではないでしょうか。
リファラル採用も検討しよう
もう一つ、社員が“思っていたのと違った”という考えに至りづらくなる採用方法を教えします。それが、リファラル採用です。
リファラル採用は、すでに自社で働いている社員に、新たな人材を紹介してもらう制度を指しています。この場合、自社のメリット、デメリットをよく理解している社員が“うちの会社に合いそうだな”とか“この人と一緒に働いてみたいな”という主観で人材を選定するため、応募者側も実際に働いている姿がイメージしやすいという利点があります。
社員だって“こんな会社は嫌だな”と思っていたら、わざわざ知人や友人に自社を薦めませんよね? 入社後のギャップが離職理由になっている退職者が多い場合、リファラル採用の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
今回は、離職率を低下させる採用をテーマにお話させていただきました。採用面接の場は、あくまでも両者のすり合わせの場であることを意識し、入社後の姿がイメージできるような採用方法を検討することで、不要な離職を減らす。そんな観点で採用制度を見直してみてください。
また、弊社では人材採用のお手伝いや採用制度の仕組み作りなどのお手伝いもさせていただいています。離職率が下がらずお悩みの企業さまはぜひ、お気軽にお問い合わせください。